仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
─︎─︎─︎今から1年前、高校3年の春。
「咲良、明日予定を空けておいてね」
希望大学も決まり、私は同級生と一緒に受験勉強に励んでいた。
「え? 何かあるんですか?」
「うふふ……あなたの結婚相手が決まったの。お相手はとても素敵な方なのよ」
え……結婚相手って、私はまだ17歳だよ? 大学にも行きたいのに。
会社の為に結婚することは、私が幼い頃から言われていた。こんなに早く縁談が来るなんて思わなくて困惑してしまう。
「それにね、咲良。この縁談は鏑木家にも関わる重大なの。だから失敗は許されないからね」
「はい……」
「あなたは、嫁いで大事な跡取りを産むのよ。相手方もそれを望んでいるのだから」
そう、女の私は会社の駒でしかない。