仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
「だから、咲良さん。何も気にしなくていいから安心して元気な子を産みなさい」
「はい……っ」
お義父さんは小さな紙袋を私に手渡した。
「これは……?」
「咲良ちゃん、それ安産守よ。蓮司が連絡いれてからすぐに司さんが神社に行ってもらってきたの」
それは、さくら色に【安産守】と刺繍されている。
「ま、まぁ……頑張りなさい。蓮司もちゃんと支えてあげなさい」
「分かってるよ、父さん。ありがとう」
「蓮司、捨てられないようにな」
その後、私と蓮司さんは隣街に住む実家に向かった。今日は休日だし、お兄ちゃんもいると思うし。