仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。


「お義母さん、ですが。お義母さんを否定するつもりはありません」

「……ぇ?」

「咲良さんは、とても女性として魅力的です。小さくて小動物みたいで、しっかりしているのにどこか抜けていて庇護欲をかきたてられます。それに笑うとえくぼがとても可愛い。料理も美味しいし、礼儀作法も完璧です。それに」


 本当に咲良はどこに出したって魅力的な女性なのだ。社員も咲良を気に入っていると聞いたことがあるくらいに、本当にいい子。


「蓮司さんっ、もうやめてください! 心臓壊れちゃいそうです」

「え? 咲良の魅力をお伝えしなくては……愛してると分かっていただけないだろ?」

「いや、脱線してます!」


 もう抱きしめたい。可愛い。
 ここが家なら抱きしめるところだ……。


「……ということで、咲良さんが妊娠した報告でした。これからも咲良さんのこと、大切にします」

「咲良、素敵な人に巡り会えたのね」


 咲良は「うん」と言い頷いた。


「元気な子を産みなさい。それにいつでも帰ってきなさいね」


そう言ったお義母さんの目には光るものがあり、張り詰めた状況はなくとても満面の笑みで微笑んでいた。





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