溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
胸が痛いよ
その日の放課後……。
「乃愛ちゃん、また水槽の掃除手伝うの?」
「うん……。黒澤先生が、ひとりじゃまだ不安だからって」
今日もまた、岡本先生に理科準備室の水槽の掃除を頼まれてしまったのだ。
正しくは、頼まれたのは黒澤先生なんだけど、
『一人じゃ不安なので、藤森さんに見ててもらいたいです』
なんて言うから……。
私は部活もしてないし、バイトもデートもないし断る理由が見つからなくて。
「乃愛ちゃん優しいね」
「そんなことないよ。暇なだけだもん」
私は肩をすくめた。