溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
ほら、ますます怪しんでるよ……!
目を細めてぎろりと向ける視線は、決して納得した「ふうん」じゃない。
「てことで、行こっか」
腕をつかんでいた手を、そのまま私の手に移動すると手と手がしっかり繋がれた。……しかも指が絡まっている。
こ、これは恋人つなぎ……!
凪くんてば、私をどうしたいの!?
「う、うん」
でも、冷静に冷静に。
合わせないとバレちゃうもん。
私はロボットのようにカチコチになりながら、黒澤先生に軽く頭を下げて、引っ張られる手についてちょこちょこ歩いて行った。