溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

「今日の昼だけど……」


お誕生日の今日、ふたりはまた一緒にお昼を食べるみたい。


食べる場所の相談をし始めたふたりに、私は空気を読んでそっと離れる。──と。


「おはよ、乃愛」


ちょうど凪くんが登校してきて。


「お、おはよっ」


今日もキラキラで爽やかな凪くんがまぶしくて、私は顔を完全に上げられず挨拶を返した。


「足、もう大丈夫?」


凪くんは私の膝をのぞき込むようなしぐさをする。


昨日のことを思い出したら恥ずかしくて、そこを手で押さえる。


「う、うんっ。大したことないから大丈夫だよ」


よく考えたら、男の子に膝に絆創膏を貼ってもらうなんて恥ずかしいよね。


その時の感覚を思い出せば、顔が真っ赤になる。


「どうしたの?」


挙動不審だったのか、不思議そうに私を見る凪くん。
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