溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
「普段名前なんて特に気にしてないけど、すっげーいい名前に聞こえる」
「うん、すごくいい名前だと思うよ」
風が凪ぐ感じを想像すれば、爽やかな凪くんにとてもぴったり。
『好きな子がいるんだ』
だけど。
さっきの凪くんの言葉を思い出したら、やっぱり胸が痛くなった。
こんな素敵な人が好きになる女の子って、どんな人なんだろう。
嶺亜も一途に萌花ちゃんを好きなように、凪くんだってずっと誰かを思っていても不思議じゃないよね。
会えなくたって、気持ちがなくなるのとは別の話だし。
「あれ? もう食べないの?」
箸が止まった私に、凪くんの声。