溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

「う、うん……なんだか、食欲がなくて……」


さっきの凪くんの言葉を思い出したら、胸の奥が苦しくなって、ご飯が喉を通らなくなっちゃったんだ。


どうして凪くんは私に構うんだろう。


今まで日陰を歩んできた私にとって、凪くんは眩しすぎる。


まったく正反対なのに。


「どうしたの? なにか悩みごとでもあるの?」


「……っ」


「悩みなら俺に相談してよ。ほら、話すだけでもスッキリすることもあるじゃん」


私はふるふると首を横に振る。


だって、凪くんのことでモヤモヤしてるなんて言えないっ。


「……俺じゃ、力になれない?」


ちょっと悲しそうに落ちる凪くんの声。
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