溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
凪くんはきっと頼りになる。ほかの悩みだったら相談できるけど、こればっかりは……。
「凪くんには、相談できないっ……」
私はお弁当をささっとまとめると、
「ご、ごめんねっ」
逃げ出すように非常階段を後にした。
──バタン。
ドアが閉まった瞬間、涙がぶわっと溢れてきた。
なんなんだろう、この気持ち。
どうしちゃったの、私。こんな気持ち初めてで、なにがなんだか分からない。
まるで別の人格が生まれちゃったみたい。
ぼんやりとその場に立ち尽くしていると、
「乃愛ちゃん? どうしたの?」