溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
「萌花ちゃん行こう」
「うんっ」
一緒に招集所まで行こうとしたとき。
「乃愛、待って」
凪くんに呼び止められた。
「え?」
「ハチマキ取れそうだから結び直してあげる」
くるりとうしろを向かされて、紐がほどかれる。
ひゃっ。凪くんに結んでもらうなんて……。
時折手が首元に触れて、ドキドキする。
「はい、これでおっけー」
「あ、ありがとう」
見上げる凪くんの頭にも、同じ青色のハチマキ。
同じ色のハチマキをつけている。それだけのことが、すごくうれしい。
──と、視線を横に向けると、同じく青色のハチマキをつけた黒澤先生が女子に囲まれていた。
思いがけず目が合うと、ニコッと微笑まれて……すぐに目を逸らしてしまった。