溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
……ううっ、やっぱり苦手だ。
もう水槽の掃除を手伝うことはないからあまり関りはないけど、なんだかとても視線を感じるの。
なんて、自意識過剰だよね。
黒澤先生が私なんかを見てるわけないのに。
「乃愛ちゃん、どうしたの?」
「へっ? な、なんでもないよ」
とっさに笑顔を作って、萌花ちゃんと一緒に玉入れの招集場所に向かう。
すると、萌花ちゃんがとんでもないことを言ってくる。
「ねえねえ、乃愛ちゃんと新城くんってやっぱりいい感じだよね?」
「いい感じって……」
そんな風に言われると、恥ずかしい。
「新城くんがかまう女子って、乃愛ちゃんだけだもんね」
「そ、そんなことないよっ」
「ううん、あるある、乃愛ちゃんだけ特別って感じがする」