溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
顔を上げると、正面に座る新城くんが、じーっと私の顔を見ていた。
「……っ」
一気に現実に引き戻された。
そうだ……今日は新城くんがいるんだった。
うつむいて、モグモグと口を動かす。
私、人に顔を見られたりするのが苦手なの。
人と話す時も、相手の目を見られなくてうつむいちゃうし。
「凪くん、ホイップいる?」
「ありがとうございます。いただきます」
そこへお母さんが新城くんに声をかけ、彼の視線がそれた。
やっぱり家に嶺亜の友達がいるって無理だ~。
そのあとは、食べても味がわからず、なんだか落ち着かない朝食だった。