溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
こんなところに凪くんとふたりなんてっ……今さらそんなことに気づいて、私は後ろに下がって凪くんと距離をとった。
だって、地味な私が凪くんとなにしてるのって思われちゃうもん。
「ごほうび、ありがと」
にっこり笑ってささやく凪くん。
「えっ……」
私、なにもあげてないけど。
「おう、今行くー」
友達にそう返事をした凪くんは「じゃあ戻ろっか」って何ごともなかったかのように、私を促し足を進めた。
2、3歩遅れて歩く私は、凪くんの背中を見つめながら問いかけた。
ねえ、凪くん。
今、なにをしたの……?
私は、凪くんになにをあげたの……?