溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
連れていかれたのは、通りに面したガラス張りのオシャレな美容室だった。
「いらっしゃいませ~」
「こんにちは。今日はよろしくお願いします」
慣れたように挨拶して中に入る萌花ちゃんに続く私は、完全に場違いな人。
私みたいな地味な人が来るところじゃないよ~。
挙動不審にペコペコ頭を下げながら入ってびっくり。
こ、これがカリスマ美容師……!
美容師さんたちは、私がいつも行くところみたいにおばちゃんじゃなくて。
若くてオシャレな男の人が大半を占めていた。
ちょっと怖いな……。
「乃愛ちゃん? どうしたの?」
「ももも、もしかして、担当さんって男の人……?」
「そうだよ、あ、こんにちは」
「萌花ちゃん、こんにちは」