溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
モヤモヤする
週が明けて、教室に入るとある一角に人だかりができていた。
女子と男子、入り乱れるように群がっている。
……なんだ?
そこは乃愛の席がある辺りだけど、乃愛が囲まれるなんてないよな……と自分の席に行きかけて。
「は……?」
誰……?
見たことのない奴がいると思ったその直後、俺は目を疑った。
やっぱりその中心にいるのは乃愛だった。けれど、金曜日までの乃愛じゃない。
髪を少し明るく染め、毛先を巻いて、ほんのり化粧したその姿……。
ちょ、ちょ、ちょ、待てよ。
ドクドクと高鳴る鼓動を抑えつつ、遠くから乃愛を眺める。