溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
俺だけの姫
「凪くんおはよー」
俺の一日は、声援のように飛んでくる黄色い声を交わしながら教室まで向かうことから始まる。
特に嶺亜と一緒にいると、その声は一段と跳ね上がる。
「今日はふたり一緒なんてラッキーだねっ」
「いいことありそう!」
って、俺はラッキーアイテムなのかよ。
俺だって健全な男子高校生。
女子にちやほやされて気分がいい時期もあったけど、これが毎日毎日続いたんじゃうんざりもする。
隠れて写真を撮られたり、挙句には名前も知らないやつが、俺を彼氏だと他校の友達に見せていたりとか、さんざんな目にもあった。
今日みたいに、嶺亜と一緒に会えたらレアだとか。
レアは名前だけにしとけっつうの。