溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
「あ、乃愛ちゃんいたいた!」
そのとき、パタパタと駆け寄ってきたのは、去年同じクラスだった美波ちゃんだった。
「乃愛ちゃん、ちょっと今時間いいかな」
なんだろう。
「……うん。萌花ちゃん、ちょっと行ってくるね」
萌花ちゃんにそう告げ美波ちゃんについて行くと、そこには知らない男子がいた。
「ほら、あとは自分で何とかしなさいよ」
その男子に小声で言うと、美波ちゃんは「じゃあね」と手を振り行ってしまい。
えっ……。
その場に残される私と男子。
「あっ、あの話があるんだけど、ちょっといいかな」
目の前の男子は顔が真っ赤で、すこしキョドりながら頭をかいた。
「は、はい……」
私がそう言うと、ほっとしたような顔で歩き出す。