溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
私はあまりの衝撃に、口をポカンとあけたまま声が出なくなった。
「てことだから、凪くんにはこの客間を使ってもらおうと思ってね」
そして、鼻歌を歌いながらせっせと畳を磨き上げる。
うそでしょ。
来るのは凪くんなの……?
「ええええーーーーっ!?」
ようやく事態が飲み込めて、私は大きな声をあげてしまった。
だ、だって、そんなことがあっていいの!?
「ってことで、よろしくね」
お母さんは鼻歌を歌いながら、雑巾を洗いに行ってしまった。
取り残された私は、ぼーぜんとその姿を見送る。
待ってよ……。
凪くんがこの家に1ヶ月住むの?
一日だけ泊まりに来るのとはわけが違うでしょ?
どうしたらいいのー!?