溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
1日だけだったら猫をかぶっていればいいけど、しばらくいられたらそうもいかない。
夜にお菓子を食べるのだってためらうし、リビングでゴロゴロなんて絶対出来ない。
普段の私を見て幻滅……なんてことになったらどうしよう!
「ただいまー」
帰ってきた!
嶺亜の声が聞こえ、私はさーっと二階へ身を潜めた。
階段の上から様子を伺い、じーっと聞き耳を立てる。
「お邪魔します」
嶺亜に続けて聞こえてきたのは凪くんの声。
やだ、どうしよう、ほんとに来ちゃった!
一気に心拍数が跳ね上がる。
「あらいらっしゃ~い! 遠慮しないで、自分の家だと思って過ごしてくれていいからね」
「はい、ありがとうございます」
私は階段の上で行ったり来たりしながらそわそわが止まらない。