溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
「チャンス……?」
「そう! 今まで以上に新城くんとお近づきになれるし、乃愛ちゃんのいいとこいーっぱいアピールできるもん!」
萌花ちゃんはそう言ってくれるけど……。
「私にいいところなんて……」
「あるよ! 乃愛ちゃんとーっても優しいもん。お料理も上手だし、そういうの見たら新城くんもイチコロだって!」
「萌花ちゃん……」
萌花ちゃんの口からイチコロなんて言葉が出てくるとは思わなかったよ。
うふふっと笑顔を見せる萌花ちゃん、天使だなぁと思っていると。
「乃愛、どうして先行っちゃったんだよ」
登校してきた凪くんが、さっそく私の所へやって来た。
きゃっ!
朝のことを思い出して、心臓がばくんっと跳ね上がる。