溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
結婚なんてワードに、あたふたしちゃう。
まぁ……相手が現れるのか、そこが一番の問題だけど。
「乃愛んちってあったかくていいよなー」
「そ、そうかな。普通だと思うけど……」
自分の家族を褒められて、ちょっと照れくさい。でも、うれしい。
「俺んち、父親いないからさ」
「えっ……」
思わずフォークをおくと、凪くんは「あ、そんな悲しい話じゃないから大丈夫」と言って。
「俺が3歳のころに親が離婚したんだ。俺は父親の記憶なんてないし、そもそも初めからいないようなもんだったから、寂しいとかそういうの一切ないんだよ」
強がっているようには見えないし、本当にそうなんだと思った。
物心ついたときからそうなら、そういうものなのかな?