溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
「んー……」
小さく体を伸ばして無防備に漏れる声とその反応に、身もだえる俺。
やべえ……可愛いすぎだろ。
ついばむようなキスを繰り返していると、いよいよ乃愛はもぞもぞし始めた。
そろそろ起きるか……?
「んー」
可愛らしくうなると、ようやく目を開けた。
黒目がちな瞳が、俺をとらえる。
「おはよ、乃愛」
俺を見ながらぱちぱちとまばたきを繰り返す乃愛は、この状況に混乱しているのかもしれない。
「お、おはよう……」
「いい夢見れた?」
「うん……ケーキ食べてた」
「マジか」
俺の唇が、甘いケーキに見えてみたいだ。
現実と夢は重なってる部分があるからな。
ほら、目覚まし時計の音が、非常ベルに聞こえていたり。