溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

甘いキス


「えっ……な、なに……?」


手を引っ張って部屋に引き入れると、乃愛は目を丸くして驚いていた。


「な、凪くん……? 嶺亜は……?」


「ごめん……乃愛と話がしたくて嶺亜に頼んだ」


「私と……?」


乃愛に用があったのは俺だ。


「もうこの家で生活するのも最後なんだなーと思ったら、乃愛とふたりで話がしたくて」


俺が呼んで来てもらえなかったら困るから、嶺亜から呼び出してもらったんだ。


「……っ。で、でもっ、明日からも学校では会えるし……」


乃愛は、小さい声でそんな冷たいことを言う。


……だよな。こんなこと思ってるの、俺だけだよな。


地味にへこんだが、無理やり笑顔を張りつけた。


「こっち来て」


そのまま乃愛の手を引きベッドに座らせ、少し間をあけて俺も隣に座る。
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