溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

お母さんをダシにしちゃったけど、私だって同じ気持ち。


遠回しに、家に遊びに来てほしいなっていう思いで言ったんだけど。


凪くんは「あっ」って顔をすると、こめかみの辺りをぽりぽりかいた。


「あー、ごめん。さんざんお世話になっておきながら、それっきりだもんな……」


「ううん、そういうのはべつにどうでもいいの。ただ、お母さんは凪くんのこと気
に入ってたから、単純にそう思っただけだと思うんだ」


けれど、凪くんは黙ってしまった。


あれ、私へんなこと言っちゃったかな……?


不安になりながら凪くんを見ていると。


「てかさ俺、乃愛んちに行ったらヤバいと思うんだよ」


「どういう、こと……?」


真面目な顔をしてそんなことを言うから、胸がざわざわする。

< 347 / 367 >

この作品をシェア

pagetop