溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
第一、新城くんが泊まりに来てるだなんて、知らなかったもん。
そういうことは、ちゃんと言っておいてくれないと。
「藤森さんて面白いね」
新城くんは、切れ長の涼しげな目元をふっと緩める。
薄茶色のきれいな瞳が、私を見つめる。
──どきっ。
そんな視線に耐えられなくて。
「お、お騒がせしました……し、失礼します」
私は立ち上がり、嶺亜の部屋を後にした。
ふー。びっくりしたなぁ、もう。
嶺亜もバスケ部に入っているけど、新城くんと友達、しかも泊まりに来るような仲だなんて知らなかったよ。
兄の嶺亜は、妹の私からみてもすごくかっこよくて、モテる。
学校では、嶺亜と新城くんが美形2トップなんて言われてるし。