溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
***

「乃愛、おはよ」


新城くんは教室に入ってくると、自分の席に向かう途中に声をかけてきた。


なぜかうちに泊まりに来た翌日から、毎日私に挨拶してくれるんだ。


「お、おはよう」


なんだかもう日課になっていて、私も実は楽しみにしている……なんてことはナイショ。


でも、まだ乃愛って名前で呼ばれるのは恥ずかしくて慣れないけど。


「これ食う?」


差し出されたのは、タブレットケース。


「えっ?」


私に?


萌花ちゃんとは、よくお菓子の交換をしている。


私の中で、お菓子をあげっこするって結構仲がいい証拠なんだけど……。
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