ひまわりの恋



 十年前――。



 八月。
 夏休み真っ只中のある日。


 俺は朝のうちに夏休みの宿題を済ませ、昼にあの場所に出かけようと思った。

 そこは夏になると、ひまわりが一面に咲くとても美しい場所。

 俺は小学一年生になって初めて一人でその場所に行くことになる。

 昨年までは家族と一緒だったから、いざ一人で行くとなると少しだけ緊張した。


 そして昼ご飯を食べた後。
 自転車に乗ってその場所へ向かっていた。

 そのときに、外の暑さですっかり暖められた夏の風が全身を通り過ぎた。
 それと同時に夏の匂いを感じた。


 自転車に乗って数分後。
 ひまわりが一面に咲くひまわり畑に着いた。

 俺は急いで自転車を降り、ひまわりたちのもとに駆け寄った。

 相変わらずこのひまわり畑はとても美しい。
 この美しさは毎年裏切らない。
 俺はその美しさに見とれていた。

 小学一年生の俺より背が高いひまわりたち。
 ひまわりたちの顔を見るには顔を上げなければならない。
 それでも俺は首が疲れてしまうくらいに、ひまわりたちのことを見続けていた。


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