ひまわりの恋



「わぁ、きれい」


 そのとき。
 突然、声がした。


 俺は、ひまわりを見上げていた顔を声がする方に向けた。


 すると。
 俺と同じ年くらいの女の子の姿が。

 その女の子も一面に咲くひまわりたちのことを見ていた。


 女の子は、とても笑顔だった。

 その笑顔は。
 まるで、ひまわりのような。


 俺は女の子のことを少しだけ見ていた。


「ん?」


 そのとき。
 女の子が俺の視線に気付いてしまった。

 そのとき、少しだけではなく、その女の子のことを見入っていたことに気付いた。


 俺の視線に気付いて女の子も俺のことをじっと見つめた。

 俺は慌てて女の子から目を逸らそうと思った。
 だけど、どういうわけか。
 俺は女の子から目を逸らすことができなかった。


 そうしてしばらく俺と女の子は、お互い何も言わずに見つめ合っていた。

 いや、違う。
 本当は、しばらくというほどの時間は経っていない。
 気持ちの上でそう感じているだけだと思う。


 ……って。
 ……‼


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