極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



 * * *


 放課後。


 今日の朝、とんでもないことがあったけれど。
 一度も校長室に呼び出されることはなかった。

 その理由は。
 隼理くんのおかげ。

 隼理くんが上手に校長先生に話をしてくれたみたい。

 昼の休憩のとき。
 スマホにメッセージが受信されていた。
 隼理くんからだった。

 メッセージを確認すると。
【なんとか切り抜けた。
 だから夕鶴は心配しなくて大丈夫。
 また夜、連絡する】
 という内容だった。

 隼理くんの言葉の通り。
 校長室に呼び出されることはなく。
 全ての授業を受けることができた。

 校長先生にどういうふうに言ってくれたのかな。
 少しだけ気になった。
 そう思いながら隼理くんにとても感謝をしていた。


 そんな気持ちになりながら。
 今、部室へ向かっている。


 ……のだけど……。

 巻き込まれるかもしれない。
 厄介なことに。

 私の少し前方に。
 通路を塞ぐように立っている五人の生徒たち。
 リボンの色が同じということは私と同じ学年。

 その生徒たちが。
 私のことを怖い顔で見ている。

 気のせいではない。
 これは確実に私に何か文句を言おうとしている表情(かお)

 そう感じたとき。
 急に足が動かなくなった。

 たぶん。
 ううん、確実に。
 足が動かないのは。
 あの五人の生徒たちに恐怖を感じているから。

 何を言われるのかわからない。
 何をされるのかわからない。
 けれど。
 何かはされる。

 何かはわからないのに。
 されることだけはわかってしまう。
 そういう状況は恐怖をより増大させる。

 けれど。
 恐怖で足が動かないからといって動かないわけにはいかない。

 そう思っているのに。
 思うように動かすことができない。


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