極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



「校長先生」


 芦達先生がそう言ったのを聞いて。
 私と朝海は後ろを振り返った。


 そこには校長先生が静かに立っていた。


 この学校の校長先生は女性。
 品があって、とても素敵な女性。


「雰囲気からして穏やかではないことが起こっていますね」


 静かに話をする校長先生の言葉は。
 その印象とは対照的に鋭さを含んでいた。


「飛鷹先生、今あなたが手にしている紙を私にも見せてください」


 校長先生はそう言うと、隼理くんのところへ。


 そんな校長先生に。
 隼理くんは少しだけ困ったような表情(かお)をしている。


「見せてください、飛鷹先生」


 隼理くんの横に立った校長先生は、もう一度隼理くんにそう言った。


 諦めたようで。
 隼理くんは校長先生に紙を渡した。


「……飛鷹先生、
 これは、こちらに報告をしなければいけないことです。
 飛鷹先生お一人で何とかするおつもりだったのですか」


 紙を見た校長先生も深刻な表情(かお)をして隼理くんにそう言った。


「……そっ……それは……」


 校長先生の言葉に。
 少し困った表情(かお)をしている、隼理くん。


「この紙は私が預かります」


 校長先生はそう言って紙をスーツのポケットに入れた。


「あなたたちは教室に戻りなさい。
 そろそろホームルームが始まる時間よ」


 校長先生にそう言われて。
 そんな時間だったことに気付く。


 私と朝海は「失礼しました」と言って職員室を出た。


< 118 / 147 >

この作品をシェア

pagetop