極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



 * * *


 その日の夜。


 隼理くんから連絡があった。


 内容は主に今日の朝のこと。

 隼理くんは『脅迫状のこと、すぐに報告してほしかった』と言った。

 その言葉に私は「迷惑をかけたくなかったから」と言った。

 私の言葉に隼理くんは『迷惑なんかじゃない。
 むしろ何でも話して、もっと頼ってほしい』と言った。

 隼理くんのその言葉に。
 嬉しいし感謝の気持ちでいっぱいになった。

 隼理くんに「ありがとう」と言って。
 それから少しだけ他愛のない話をした。





 七月の上旬。


 朝海が隼理くんに脅迫状を渡してくれて。
 それから一度も私の下駄箱の中に脅迫状が入っていることはなくなった。

 ただ、誰がそういうことをしたのか。
 まだわかっていない。



 今日も無事に授業と部活を終えて。
 今は自分の部屋でゆったりとくつろいでいる。


 そのとき。
 スマホに着信音が。

 スマホを手に取って画面を見ると。
 隼理くんの名前。


「もしもし、隼理くん」


 着信を受け隼理くんの名前を呼んだ。


『もしもし、夕鶴』


 隼理くんの声。
 いつ聞いても心地良い。


『今、時間、大丈夫?』


 隼理くんのやさしい声のトーン。

 そのトーンが。
 とても安心する。


『……あのさ……』


 そう思っているとき。
 始まろうとしていた。
 隼理くんの話が。


 と思ったら。
 そのまま無言になってしまった、隼理くん。

 隼理くん、どうしたのだろう。


 通話だから隼理くんの顔が見えない。

 今、どんな表情をしているのだろう。


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