極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



「芦達先生、本当にありがとうございました」


「いいよ、そんなこと気にしないで。
 それよりも神城さん、その足だと一人で帰ることは難しいんじゃない?」


 こんなにも親切にしてもらったのに。
 帰ることまで心配してくれている。

 ものすごくありがたいことだと思った。


「ここまでしていただいたのに帰ることまで心配してくださって、
 本当にありがとうございます。
 大丈夫です。
 芦達先生に湿布を貼っていただいたおかげでなんとか……うっ……」


 そう言って椅子から立ち上がろうとした、けれど……。
 立ち上がることができなかった。


「神城さん、無理しないで。
 無理すると足に良くないよ」


 やさしくそう言ってくれた、芦達先生。
 芦達先生の言葉は、とてもありがたい。
 けれど。
 このままでは家に帰ることができない。


「とは言っても、僕は会議があるし……」


 そう言って真剣に考えてくれている、芦達先生。

 このままでは芦達先生に申し訳ない。

 だから、もう一度立ち上がろうとしたけれど。
 またもや立ち上がることはできなかった。


「ダメだよ、無理しちゃ」


 またやさしくそう言ってくれた、芦達先生。

 そんな芦達先生に申し訳ない気持ちが募る。


「神城さん、
 今、家にご家族の方いらっしゃる?」


 芦達先生にそう訊かれて、家族は全員留守にしていることを伝えた。

 芦達先生は私の家族が家に居るとしたら迎えに来てもらおうと思って私にそう訊いたと言った。

 私の返答を聞いた芦達先生は再び考えてくれている。
 芦達先生、会議があるのに。
 本当に、本当に申し訳なく思い。


「あっ……芦達先生……」


「……あっ」


 芦達先生に『私なら大丈夫ですので会議に行ってください』と言おうとしたら。
 私の言葉に被さるように芦達先生が声を上げた。


「飛鷹先生」


 え……。


「飛鷹先生、このあとご都合がよろしければ、
 このまま神城さんのことをお願いしてもよろしいですか」


 えぇっ⁉

 あっ……芦達先生っ⁉


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