元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
「これって」
私は咲が見せたなにかを見て、声を発した。
それは、西原とのラインメッセージだった。
ラインメッセージを少し見ると、全部私のことだった。
高校生なら、恋愛だけじゃなくて、勉強のこととか色々聞くことあるんじゃないの。
なんで私のことだけ。
私は西原の溺愛ぶりは異常なものだと実感した。
「西原が、千花が好きな花は何かって昨日聞かれたの。バラかなって返信したら、買ってきますって言って、買ってきたやつだと思うよ」
咲はいつの間に西原と連絡先を取っていたのか、昨日西原とラインをしたらしい。
「咲、なんで私がバラ好きだって。ってか、西原とライン交換したの」
私は気になっていたことを咲に聞いた。
咲に私は薔薇が好きだって言ったことはない。
「前に話してくれたでしょ。それで。ラインは本人に直接聞かれたの。千花の情報がほしいって、私は直接千花に聞いた方、早いんじゃないって聞いたら、千花を喜ばせたいからって」
咲はフゥーと息を吸ったあと、自分の机に携帯を置いて、私を見た。
私、咲に言ってたんだっけ。
そっか、だから。咲は西原に言ったんだ。
そう、私は薔薇が好きだ。
好意を示すために、男性から薔薇が送られる。
だけど、私はその意味で好きじゃない。
ある人が私に薔薇をプレゼントした。
何の意味もなく、ただ私に薔薇をやったんだ。
家族は花が好きでよく私を連れて、花屋に頻繁に行くことがあった。
私は、薔薇を見て、これいい!好きと花屋に行くたび、言っていたから貰った。
ある人は、姉に聞いたのだろう。
ある人とは、私の初恋の人で姉の婚約者。
プレゼントを貰った時は、私の誕生日だった。
その時に言われたんだ。
千花ちゃんは、誰かが好きだっていう気持ちがあったら、ちゃんと気持ちを伝えるんだよ
と言われた思い出があるから私はこの薔薇が好きなんだ。
初恋は、私でもしたことがある。
だけど、片思いから両思いになった経験はない。
薔薇を見るのはいいが、今思えば苦くて甘い思い出。
「……」
私は自分の机にあった薔薇を見てから、黙ったまま頬杖をついて、窓側の外を眺めた。