元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

「西原に何かしようと思わないの?」

咲は私の肩をちょんちょんと突っつきながら、聞いてきた。

西原にもらったから、何かをやった方がいいのだと思うけど。

あの薔薇を見ると、初恋の人の言葉を思い出す。

ちゃんと気持ちを伝えるんだよと頭の中で初恋の人の声が響き渡る。

私は西原が好きなの?
こんな形で、また薔薇を見るなんて思いも知らなかった。

小さい頃以来、私は花屋に行けてないから。

「…分からない。西原が私を好きだっていうのはなんでか」

私は窓際から視線を咲に見返した。
小さい頃の思い出がよぎる中、私は咲を見ながら、思い出していた。

初恋の人は、今は姉と夫婦。
今も近所に住んでいるから、たまに会う。
だけど、前みたいに好きっていう気持ちはない。

小さい頃、好きだった感情はもしかして恋愛感情ではなかったのかもしれない。

でも、初恋の人のいろんな顔が蘇るのは事実で、これが恋愛感情じゃないとは言えない。

「西原のことは何とも思っていないけど、気になるんでしょ」

咲は私の気持ちを汲み取るように私の代わりに言語化してくれた。

そう、西原のことをなんとも思っていないが、西原の顔が蘇る。

自分でも分からないが、気になる存在ではある。

咲の言う通りだ。

「……わかんないけど、多分」

私は首を傾げながら、咲に答える。
それしか今は、私は答えようがない。

「西原の言動ひとつひとつがどうしても思い出しちゃうんじゃない」

咲は返事に困っていた私を見かねて、咲が私に言う。

私は咲を見て、驚きを隠せない。
だって、本当にそうだから。
西原の言動一つひとつ思い出してしまう。

「な、なんで」

ザワザワとクラスメイト達はまだ朝礼が始まってないので、騒いでいた。

さっきよりクラスメイトが増えていた。

そんな中、私は目を丸くして咲を見る。
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