元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
咲は私に大声で叫んで、笑っていた。
なんでよ、咲ー!

私は西原のことなんてなんも思っていないのに。咲、何考えてるの。

ねぇ、咲ー!

と私は咲の方向に手を出して、助けてと言っていたが、咲はただ笑っていた。

なんでよ!

私は西原の手に引かれ、玄関前まで来ていた。

生徒たちは、ゾロゾロと部活動に行く人もいれば、鞄を持ち、帰る人がいた。

一人ひとり個性が違うのは当たり前だが、やはり自分が楽しいって思えることをしたい。

むしろ、今青春真っ只中にいる私はそうしたいと思う。

だが、今はあいつと一緒にいるが、どうもこうも楽しくはない。

頭の中に出てきた咲は、本当は違うでしょと言っているような気がした。

だけど、楽しくはないが、あいつといる何かが違う景色が見れる気がするので、断固拒否出来ない。

「ちょっと、離して!」

私は強引に西原の手を思い切り、引っ張った。
西原が手を離してくれないから。
私から手を離して、西原を見る。

西原は私の方に振り返り、私をジッと見る。

「な、なに!?」

私は西原と向き合った。
私の声が大きかったせいか、玄関前にいた生徒二人組が私たちを見てきた。

「別に。じゃあ、行こう。靴履きかえて」

西原は少し笑ってから、トントンと踵を入れて私の方を見る。

私は仕方なく、外靴を履いた。
すると、玄関前にドアに寄りかかりながらも、腕を組み、西原は待っててくれた。

「……」

黙って西原がいる玄関前に行くと、嬉しそうにしている西原がいた。
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