元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
「じゃあ、行くか」
西原はいつもの笑顔で私に言うと、私の手を引いて歩き始めた。
私はなぜか抵抗出来なかった。
西原の手を握ることは、嫌ではなかった。
こんな感情になってる自分に一番困惑している。
外にいた私のクラスメイト達は、私たちを見て、羨ましそうに見てきた。
私たち、カップルに見えるのかな。
だけど、違う。
私たちは、ただの友達以上恋人未満だから。
私は外にいる生徒たちを呆然と見ていた。
「……千花。どうした?」
それに気づいた西原は、心配そうに顔から覗いてきた。
「いや、別になんでもない。ってか、どさくさに紛れて、手握んないでよ」
私は少し下を向いたあと、西原にツンツン口調で言い返す。
やはり、西原といるとツンデレ装備は外せない。
普通になるのは私にとって、難しい。
「あ、バレた。はいはい」
西原は私の手を強く握った後、すぐ手を離した。
西原に握られた手を私は見つめて、思う。
もう少しだけよかったかなと。
私は複雑な想いだった。
手を離してほしいのに、手を離してほしくないという心境が私の中にあった。
なんで西原にこんな想い、抱くのだろう。
不思議に思いながら、西原とパンケーキ屋に向かった。