元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

「悪い?一人で来て」

百合香は少し切れ気味で西原に言う。

「悪いとは言ってないが、今はデート中だから」

西原は百合香から目を逸らして、ニッと笑ってから、私に目線をうつす。

私は百合香という人物は、もしかして、西原の元カノではないかと女の勘だが、そう思った。

「なっ、デートじゃないから」

私は西原の言葉を言い返した。
だって、違うから。
西原とは彼女と彼氏の仲ではないし、付き合ってもいないのだから。

そう、付き合ってないんだから。

「そこの彼女は、そう言ってるけど」

百合香は私を指差して、西原に聞いてきた。
初対面だっていうのに、挨拶もなしかよとツッコミたくなった。

だけど、余程のことじゃないとこんな怒ったりはしない。

百合香と西原には、一旦何があったのか。

「まあ、俺の片想いだから」

百合香の言葉は気にせずに、西原は思ったことを口にしていた。

それを聞いた私は目を泳がせて、西原の目すら合わせられなかった。

百合香と西原の関係は分からないが、いつものように素直に言う西原に私は戸惑いを隠しきれない。

普通、人がいる前で言うか。
あ、いや、前にも言っていたか。
西原はそういう奴だった。

私は我に返り、二人を見る。
< 116 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop