元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
「……分かった」
私は素直に答えた。
西原がそこまで言うなら、私はただ頷くしかない。
「…俺の高校生の時の話で。俺は、あの百合香っていうのは元カノで元ヤンキーで、俺の仲間だった。でも、あることがきっかけで変わってたんだ」
西原は真剣な顔で私を見つめて、言い放った。
私を好きという真剣さの顔とは違う。
脳内で昔を思い出すかのように言葉を選んで私に話してきた。
「…あること?」
私は首を傾げて、西原の言葉を待っていた。
「そう。俺と友人がゲームセンターで遊んでいた時のことだった。ある男が百合香を連れ去ったんだ」
西原は真顔で私に言った。
私は西原が言うエピソードにただ驚かされる。
女性を男が連れ出すというのは、ニュースとかでしか聞いたことがなかったから。
「連れ去った?どこに」
私は口を開けて、呆然としていた。
ほんとは私が聞いていいものなのかと疑問に思いながら、西原の話を聞く。
「……人気がない空き家に。元ヤンだからそこまで心配ないと思ったんだ。ただ、厄介なのに巻き込まれた。
俺の携帯から町内で知らない人はいないという超悪のヤンキーからメールがきたんだ。それは、この女を殺されたくなければ、お前が来いという文面だった。俺は迷わず指定されたとこに行って、喧嘩をした。まあ、俺が勝ったんだけどね。そこから、百合香は沈んだ。喧嘩は得意だったが、精神的に病んだ。だから、俺のせいでなったんだ。
今度こそは相手を傷つかない。傷つかせたくはないんだ。だから、千花には話しておきたかったんだ」
西原は目を大きくあけて、私に隠さずに、すべてを話してくれた。
話してくれるだけで嬉しいと思う私もいながら、西原にこんなことがあったとは、知らなかった。
しかも、本当にヤンキーだったとは分からなかった。
今は元ヤンキーかもしれないが。
ただただ、私は驚きを隠せないでいた。
本当にヤンキーだったとは。
噂はうわさを呼んだ。