元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
「千花」
西原は私の名前を呼んで、目をウルウルさせていた。
私だって、泣きたいけどそんな泣くわけにいかない。こんなことで。
私は自分の過去を振り返りながら、西原に言った。
あれは事実だ。
私は素直になれない性格だから、いつも人に勘違いされてしまう。
本音はそんなこと思っていない。
だけど、人が求めていた答えが違うと、
なにそれ、空気読めてないとか。
どういうこと?
と人に怒られてしまう。
私は咲と会うまで、ひとりぼっちだった。
だから、分かる。
無意識に人を傷つけていることに。
だけど、人それぞれみんな違う。
解釈なんて人それぞれ。
それでもいいんだって思えたのは、咲に出会えて、傷つけることもあったけど。
咲に会って、人と関わるコツが分かったんだ。
今も慣れていないけど、クラスメイトとは少しだけ挨拶が出来る様になった。
まあ、私のファンクラブが出来たり、西原が関わることになってからだけど。
少しだけ変われたんだってことに、私は西原に気付いて欲しかった。
「だから、俺のせいとか言わないで」
私は目を下に向けて、西原を励ますようにいつもより声を大きく言う。
「あ、ありがとう」
西原は笑顔で私に礼を言った。
「別に」
嬉しいと思う反面照れが出て、私はツンツンして答える。
だけど、心の中で泣いていた。
「あはは。それが千花らしい」
西原がそう言った途端、ちょうどパンケーキが来て、いつもと変わらないたわいのない話をした。
普通の男子高校生と変わらなく。
私は元ヤンと事実を知ったが、逆に西原がどんなことを今まで知ってきたのか、何が好きかもっと知りたくなった。