元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

「楽しそうだね」

私がにこやかにそう言うと、二人同時に私のとこを見て答える。

「「こいつといても楽しくない!」」

二人は必死に嫌な顔をして、私に言ってきた。

根岸くんは左を向いて、面白くなさそうにしていて、咲は右を向いて目を光らせて何かを捕らえるような目でどこかを見つめていた。

クラスにいた生徒たちは、笑っている人たちもいれば真顔で唖然と見ている人もいた。

みんなの反応が違くて、面白かった。

あまりにも二人が必死な顔だったので、思わず私は笑ってしまった。

「広瀬、何笑ってんの?」

根岸くんは苦笑いを浮かべて、私に聞いてきた。咲はフッと鼻で笑い、根岸くんを見ていた。

「だって、あまりにも嫌な顔してたから」

私は二人の顔がおかしくて、我慢していたのに笑ってしまった。

根岸くんは、はあ?と言って私を見て変な顔をしていた。

「千花。嫌に決まってるでしょ。こいつといても」

咲はすごい引きつった顔で根岸くんについて私に言ってくる。

根岸くんは反発した態度で、こっちもだわと誰もが聞こえる声で言っていた。

「はあ?お前に言われたくないよ」

さっきほども言ったのに、その後、またすぐ根岸くんは、咲に言い返す。

言い返さなくても。
なんでここで口論するかな。

二人は私がいるのを忘れて、喧嘩し始めた。
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