元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
根岸くんの不器用な想い
僕、根岸はずっと抱えている想いがある。
西原が僕に宣誓布告をしてきた。
だけど、僕だって変わらない気持ちがあった。
西原凌が現れる前から……
高校1年生の時だった。
僕は一人で誰もいない自分の教室にただ座っていた。
あの時、僕はあまり友達と言える人がいなかった。
中学から一緒の知り合いはいる。
知り合いは、僕とただたまに近況報告するだけで、友達と言えるかは危うい。
座って、ズボンのポケットから携帯を取り出して、音楽アプリを開いた。
イヤホンを両耳にかけて、机に顔をつけて、目を閉じて僕の世界を楽しんでいた。
そのまま、僕は自分の世界に入り込んだ。
だけど、いきなりドアがガラッと扉が開いた。
僕は両方をビクッと震わせて、両耳からイヤホンを取り出して、誰かが来た方向を向いた。
それが、広瀬だった。
「あ、人いたんだ。ゴメン。寝てた?」
広瀬はカバンを右肩にかけて、自分の机の中を覗いていた。
あの時、僕は広瀬をよく知らなかった。
ただのクラスメイトぐらいだった。