元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
確か、広瀬千花は同じクラスメイトだ。
みんなから人気者で、本人は特に気にしていないようだ。

人気者があるから、ファンクラブもあるほど。

だけど、一度も笑顔を見たことがなかった。

最初はそんな印象で、人気者ということくらいだった。

クラスが一緒なのに、初めて、広瀬と話した。

「…大丈夫…だけど」

僕は起き上がって、広瀬の背中を見ていた。

「なら。よかった」

広瀬は机の中を覗いて、ひたすら何かを探していた。

「…どうしたの?」

僕は座ったまま、何かを探している広瀬に聞いた。

「いや、学生証なくて。なんか見なかった?」

広瀬は机の中を覗きながら、探していたがなかったので、自分のカバンを漁り始めた。

「……なかったと…」

僕は小さい声でボソリと呟いた。
だが、そんな声でも聞こえていたらしい。

「うーん」

広瀬はカバンから自分のジャケット、スカートなど探し当てていた。

すると、大きい声で広瀬は叫んだ。

「あった!なんでここに」

広瀬が着ていたカーディガンのポケットに学生証にあった。

学生証を上にかかげて、ホッとしたような表情でよかったと言っていた。

「…よかったね」

僕は広瀬に小声で言う。
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