元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
僕と広瀬について、付き合っているような言動を話していた。

その言動は、二つあったらしい。

一つは、僕と広瀬で伊勢宗介のCDが発売されて買った翌日のことの出来事だという。

僕は言われるまで気づかなかった。

広瀬と僕が教室で話している時だ。

「根岸くん。昨日発売されたCD、聞いた?」

広瀬は嬉しそうに家から持ってきたのだろう。伊勢宗介のCDを片手に持って、表側をじっくり見ていた。

「聞いた。聞いた。あの声、凄くない?高音ボイス。いつもに増して声が出てたし」

僕も頷きながら、広瀬が持っていたCDを僕は広瀬の近くに来て、見ていた。

「ねぇ?見て、これ」

広瀬はCDを片手に持って、僕の隣に来て、上目遣いで言ってくる。

「おー、カッコいいわ。伊勢宗介、ほんとに。ねぇ?」 

僕は広瀬が持っていたCDを手に取り、広瀬と手を重ねていた。

少しドキッとして、広瀬をチラッと見たが、いつもと変わらず、嬉しそうに満面な笑みをしていた。

「ほんとだ。いやー、いいね。あ、音楽アプリにも伊勢宗介の曲あって。聞いてみて」

ウキウキしているのか話が止まらない。

「聞いてみるよ、でも昔の曲入ってる?」

僕は伊勢宗介の曲の中で、デビュー当時歌っていた曲が好きなのだ。

「入ってるよ。もちろん」

満足げに笑顔で僕に言う。

その笑顔に僕はキュンときた。

それを彼女らは見ていたのだ。

懐かしい。
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