元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
「…根岸。立ってないで。そこ座ったら?」
咲は頬杖をついて、そこと隣の椅子を指差して、僕に言う。
「お、おう」
僕は返事をして、咲が言われた通り、椅子に座った。
咲から座ったら、なんていつもそんなこと言わないのに。珍しい。
「…千花、どう思う。最近」
咲は頬杖をついて、自分の机の方に目を向けて言った。
「いつも通り、変わらないんじゃない」
僕は声のトーンは変えずに、咲に言う。
「そう思うの。根岸は。私は心配だよ。千花が西原に好意を示してる感じがする。嫌いって言う程、好きになってるんだよ。ほら、現代文の担当が変わった時、前の先生がいいと言いながら、今の先生になんか愛着してるし」
口をふくまらせて咲は僕に言う。
嫌いって言葉は千花にとって、本当に嫌いだと思っていたが、違かったらしい。
咲に言われるまで気づかなかった。
確かに言われれば、そうだ。
嫌いって言っても、なんだかんだ普通に関わっているのだ。
「…そうかもな」
僕は両股開いて、下を向いて返事をした。