元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
あっという間に、放課後になった。
「広瀬。行こう」
根岸くんは私の教室に来て、ドア付近にいた。
「あ、うん。咲、さっきに帰るけど、大丈夫?」
私は根岸くんに言ってかは、咲に聞いた。
「大丈夫。いってらっしゃい」
咲は箒を片手に持って、私に言い放った。
「ありがとう」
私は咲に言って、根岸くんと教室を出た。
「…じゃあ、行こうか」
根岸くんは私にそう言うと、私の歩くペースに合わせて、歩き始めた。
私は根岸くんを見て、返事をした。
*
「咲さん」
俺は、千花と同じクラスの咲さんを呼んだ。
「あ、西原」
咲さんは箒を片手に持ったまま、後ろのドア付近にいた俺に気づいた。
「どうした?」
咲は箒を持ったまま、俺に近づいてきた。
「千花はいる?」
俺は教室の周りを見渡した。
だが、千花はいなかった。
「…根岸とどっか行ったけど」
咲は冷たい声を発して、俺に言う。
「…そうか」
俺はただ返事をして、下を向いた。
「あれ?いつも嫉妬してるのに、どうした?」
咲は首を傾げて、西原に言う。
「…俺はやるべきことをやるだけだ」
俺は表面上そんなこと言っていたが、本当は違う。
ほんとは千花と二人にはさせたくなかったが、強がった。
千花は根岸に誘われて、了承した。
俺が関わる前から仲がいい。
俺が入れない隙間があるのは事実だ。
咲さんにそう言い放ち、俺は教室から出た。
ほんと、俺、余裕ない。
俺は教室から出て、誰にも見えないように右手に拳を握りしめて、自分の教室に戻った。