元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
一方で、千花と根岸くんは、CDショップにいた。

「見て。これ。伊勢宗介の新曲」

根岸くんは、伊勢宗介のコーナーに行き、新曲を手にして、私に話しかけてくる。

「だね。フアンクラブ限定曲以外にも作ったって言ってたから」

私は根岸くんの方を見て、新規のCDを手にして声を発した。

「あ、こっちにもあるみたい。おー、すごい。伊勢宗介、カッコいい」

根岸くんはそう言ったあと、伊勢宗介コーナーにあったヘッドホンを手に取り、両耳に装着した。

「あ、これ好きだな。ほら」

私はヘッドホンで聴ける曲のタイトルを見ていると、根岸くんは私の顔に近づいてきた。

「聞く?」

根岸くんは装着していたヘッドホンを私の両耳につけた。

少しだけ根岸くんの手に触れて、びっくりしたが、そのあとだった。

根岸くんは曲を変えたあと、私の右耳に耳を澄まして聞いていた。

なに、え?

私の右耳に根岸くんの顔が近くにあり、思わず目を丸くして、彼を見る。

リズムを取って、根岸くんは私の右耳の近くにいながら、口ずさんでいた。

うっ、近い。ちゃんと曲を聞きたいのに、根岸くんの顔が気になり、それどころじゃない。

「いいね。やっぱり、この曲最高だね」

根岸くんは私が付けていたヘッドホン越しに言って、笑顔で私に微笑んできた。

目を細めて、私に眩しい笑顔で言ってきた。

なんなの。根岸くんの満面な笑みに目を奪われた。

いつもは口だけ微笑むだけだが、口を開けてほんとに楽しそうにしていた。

そんな顔は可愛い顔をした男の子がすると、胸がドキドキが止まらない。
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