元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
なんで、そんな優しい声で言うの。
根岸くんはとにかく優しい。
会った時からずっと。
私に優しい。
同じ歌手の伊勢宗介が好きで、そこから話をして、仲がよくなるのは時間はかからなかった。
1年前会った時から、私は根岸くんと話すのは楽しくなっていた。
「ありがとう。嬉しい。私、そう言うこと言われるの初めて」
私はほんと嬉しかった。
笑みを浮かべて、彼に言う。
「…それなら、良かった」
根岸くんはほっとしたような表情で私に声を発した。
それから私と根岸くんは、お互い頼んだココアを口に運ぶ。
飲み終わったら、根岸くんとお店を出た。
いつのまにか、夕方になっていた。
「…暗くなってきたね」
私は根岸くんに言うと、彼は私の近くに来て返事をした。
「うん。あのさ、僕、広瀬のこと好意もってるから」
根岸くんは帰り道の途中、彼は止まって私に話しかけてきた。
「それは、友達の意味で?」
私は根岸くんに聞いた。
好意というのは、友情か恋愛かってことだ。
それがどっちかってこと。
「違う。恋愛的な意味で」
真剣な目をして根岸くんは私に言う。
「え?それだけ覚えておいて」
根岸くんは自分の鼻に手を当てて、また、明日ねと言って、去っていた。
根岸くんが私を?
いや、まさか。え?
と私は固まっていた。
*
「あー、言った。僕なりのアプローチはできた」
広瀬と別れてから、僕は立ち止まって一人で呟いた。
広瀬に恋愛的な意味で、好意を持っていることを伝えた。
好きだって言いたいけど、今じゃない気がするから。
僕なりの精一杯を伝えた。
伝えた。やっと。
嬉しさのあまり、家に着くまで、走って帰った。