元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している
「ちょっと待ってよ!なに?」
廊下を歩いていると、周囲から視線を感じた。
クラスメイト達は、私たちが去ると、椅子から立ち上がって教室から出て観察していた。
西原と私が一緒にいるだけで、こんなにも注目を浴びる。
そうだよね、西原はただのヤンキーなんだから。
でも、それだけではない。
西原凌は、前より怖い存在のイメージだったからかイメージは悪かったが、素の西原凌を見て、みんなには好印象になったのだろう。
西原が私の手を強く握りしめていたのを私は離した。
「俺はただの友達?」
拗ねたように下に俯いている西原は顔を傾けてから、私を見てくる。
「そうだよ、それ以外に何があるの」
私は西原と少し距離を取って、向き合う。
「……これじゃ、わかんないの?」
西原は空き部屋の隣にあった隙間に、私と入り込んだ。
生徒は来るが、朝は頻繁に出入りは少ない。
「ちょっと」
私は壁によりかかり、お互いの鼻がつきそうなくらいの距離で西原は壁を右手に置き、壁ドンされた。
ち、近すぎる!
うわー、よく見ると顔整ってるんだよね。
心の中で言いながら、西原の顔をガン見していた。