元ヤンキー男子はツンデレ女子を溺愛している

「な、なんだよ」

自分で壁ドンしておきながら、西原は照れた顔をして、私の顔からそっぽ向いた。

西原凌から壁ドンしたくせに、今更恥ずかしくなったのか。

冷静に私は判断して、西原凌を見る。

「ち、近い」

私は目を見開き、西原に言う。
西原は少し目を逸らしてから、私を見ていた。

周りには誰もいなく、私と西原凌しかいなかった。

「……千花。…っ」

西原はそう言いながら、私の口元に近づけてきた。それを分かった私はすぐに西原の顔を手で押さえる。

西原は私を真っ直ぐに見ていた。

「やめて」

私は西原の顔を離したら、西原は悲しそうな目で見てきた。

私と西原は向き合いながら、数分黙っていた。

「……じゃあ、どうやったらわかってくるんだ」

西原は眉間にシワをよせて切なそうに、私を見つめてきた。

ガタッと右から何か音をして、私はその音にビクッと肩を揺らした。

音の方向に目を向けて見たが、誰もいなかった。

「別にわかんなくていいよ」

誰もいない所を見てから、私は西原の目を逸らして、廊下にあったゴミを見つめていた。

「……こんなに伝えてるのになんで」

右手に壁をあてていた手を離して、悔しそうに西原は拳を強く握りしめていた。
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