また逢う日まで、さよならは言わないで。
直哉が家に帰り、寝る準備を済ませたところだった。
デスクの上に置いてあったスマートフォンから音が鳴る。この音は『talk』にメッセージが来たことを通知する音だ。
私はスマートフォンに手を伸ばし、画面を開いた。
【お疲れ様。楽しかったようで何よりだね。その立花さんって人が、僕と同じ名前の人の話をしていたっていうのは、僕も少し気になるな。それにしても、好きな人ができてよかったね】
ホクトからだった。
ホクトには、直哉が帰った後に、今日のことを報告した。
立花さんがホクトという人の話をしていたということも、直哉には言わなかったが、ホクトには伝えとかなければならない気がして、すべてを伝えた。
【ありがとう。ホクトのおかげだよ。ホクトは立花さんとその友達のガクっていう人のこと、知らないんだよね】
私の送ったメッセージに、ホクトはすぐに既読をつけた。
【うん。聞いたことはないかな。別人だと思う】
すぐにホクトからの返事は帰ってきた。
【わかった。じゃあ、明日バイトだからその時に立花さんに言っておくね。立花さんも、ホクトっていう名前の人と『talk』でメッセージのやり取りを、たまにしてるって言ったら、気になってたから】
【うん、それがいいと思う。今日は疲れただろうから、早めに休んでね】
【ありがとう。おやすみ】
私はそう、メッセージを送って、スマートフォンを閉じた。すぐに、メッセージの通知音が鳴ったが、きっとホクトからだろう。明日の朝に見ればいいと思い、それ以上は見なかった。
今日は、立花さんといい、直哉といい、ホクトといい……。
いろんなことがあった。
ベッドに横になった瞬間、襲ってくる睡魔。
きっと、ホクトの言うように疲れているのだろう。
明日は月曜日。
バイトも学校もある。
私はゆっくりと目を閉じ、そして、眠りに落ちた。